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ちょっと難しい関数の話

ディラックのデルタ関数

診療放射線技師が扱う画像の,画質評価などにおいてディラックのデルタ関数δ(x)なるものがしばしば現れる.この関数(?)はx ≠ 0に対してはδ(x) = 0となり,x = 0においてのみδ(x) = ∞となる奇怪なものである.なおかつ,x = 0を含んだ区間上で積分すると必ず1になるという性質をも持っている.こんなものグラフに描けないのであるが,次のようにグラフが描かれる:

デルタ関数のグラフ

こんな奇怪なものであるが,デルタ関数は画質の評価だけでなく電磁気学や量子力学など様々なところに現れる,無くてはならないものである.「怪しい挙動ではあるが,これほど有用であるということは正しく基礎づけできるに違いない」という機運が高まり,シュヴァルツにより「超関数(distribution)」として基礎づけがなされた.